『missing piece』
亜矢が私の前からいなくなって2日が過ぎていた。
葬儀の際中、美由はほとんど修一と話をしなかった。
出来なかったのだ・・・
会話にもならない話を少しだけしたかの様な気がする。
でも覚えていない。。。
修一のセリフ・・・自分が何を答えたのかさえ・・・
ショックだった。何かの間違えであって欲しい。。。
そんな事ばかり考えていた2日間であった。
しかし、現実の鏡は、残酷なまでに美由を直視した。
惨めなまでに彼女を照らしていた。
「バカっ!・・・亜矢のバカっ!!・・・なんで、、、なんで
死んじゃったのよ!」
部屋に戻った美由は、無邪気に、そしてイタイくらい眩しい笑顔で
持ち主を見つめ続けている写真を手に取った。
美由の心は何度となく同じ言葉を彼女に吐かした
「虚しい・・・辛い・・・」
体の何処かに「穴」が空いてしまって、大事なものがそこから流れ
出てしまったかの様な脱力感・・・
美由は、何もする気になれなかった。何も考えたくは無かった。
3人で撮った写真
真ん中には笑顔の亜矢がいる。。。
亜矢に肩口からぐるりと腕をクビにまわされ、悲鳴じみた・・・
それでいて嬉々とした何とも言えない顔で隣で笑っている美由。。。
控えめに、ちょっと後方から恥ずかしげに2人の様子を眺め、、、
そして笑っている修一。。。
ステキな写真だった。沢山ある3人で写った写真の中でも美由が
一番気に入っている写真だった。
「亜矢が死ぬまでは・・・」
つらい。。。
眩しすぎる亜矢の笑顔は、幾度となく美由の胸に突き刺さった。
今ごろになって涙が出てきた
今さらになって・・・遅いのかもしれない
だけど、ただ、ただ泣いた。
事件が起きたのは、そんな暗い暗い夜。。。。。
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送信者:織原亜矢
件名:「美由へ・・・」
こんばんはっ!亜矢♪(〃^^〃)
って、死んじゃったヤツに挨拶された所で、困っちゃうよね(苦笑)
何だか、いつもと勝手が違うし、調子狂っちゃうね。(^^;)
ヘンな感じ。。。
お葬式終っちゃったね・・・
あー、わたし、、、ホントに死んじゃったんだね。。。
みんな泣いてたね
美由も・・・
あの場では泣かなくて部屋に戻ってから泣くなんてところが、
美由らしいね(^^)
わたしの為に泣いてくれたんだね。。。
ありがとう、、、嬉しかったよ♪(〃^^〃)
でも、
ごめんね。。。
こんな事になっちゃって
嫌だよ
死にたくなかったよ。。。わたし
なんで、、、なんでこんな事になっちゃったのかなぁ〜
美由に会いたい・・・
修一に会いたい・・・
みんなに会いたい・・・
でも、、、でも、しょうがないよね。。。
だってわたし、死んじゃったんだもんね(苦笑)
修一・・・どう?
ちょっと心配してる。。。
何故だかね。。。判らないんだけど
このメールね、美由の所にしか届かないみたいなんだ
どうしてだろうね???・・・
来月の修一の誕生日
また去年みたいに一緒に過ごしたかったな
パーティ開いてお祝いしてバカ騒ぎして♪・・・
一緒に過ごすのが当たり前だと思っていたのに・・・
やっぱり、、、
寂しいな・・・・
はぁ〜
書きたいこと一杯あるんだけど、
上手く言葉が出てこないや(汗)
(溜息)
また、、、また、メールするね♪
修一の側にいてあげて♪(〃^^〃)
じゃ、またね♪
あなたの「織原亜矢」より・・・♪(= ̄∇ ̄=)(爆)
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「亜矢?本当に亜矢からのメールなの?!」
美由は混乱した頭の中を必死に整理する為に努めた
「誰かのイタズラ?。。。でも、、、この文章は
間違いなく亜矢のものだ・・・何が、、、どうなって
いるの???」
美由には理解できなかった
無理もないだろう
美由は眠れない夜を過ごした・・・
やがて朝を迎える
無意識に身支度を整えて、いつもの通学路、、、
教室に着いた。いつもの席にいつもとは比べようもない
落胆した表情の修一が小さくなって座っていた
美由は一瞬、修一に声を掛けるのをためらった。
挨拶をする。。。簡単な返事が返ってくる・・・
いくつかの言葉を交わした。
でも美由は、昨日の亜矢からのメールの件を
切り出す事が出来なかった。。。何故だろう?
それは、美由自身にも判らなかった。。。
ただ、言えなかった
あのメールは、やっぱり美由にしか届いていない
ものらしい。。。
修一は何も知らない
何も・・・・
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