アナフッドたちとはぐれてしまった・・・
なんとかしてアナフッドたちを探さなければ
アフアト山に行く事ができない。
なぜかというと、アフアト山のある大陸へ
行くための船のチケットはアナフッドがもっているのだ。
だから、私とフリックさんはアナフッドを探す事にした。
フリックさんの意見で、私は目立つところに行く事にした。
「見つかるかな・・・アナフッドたち。見つけてくれるかな
私たちのこと・・・。」
たくさんの仲間達とはぐれてしまうと急に
心細くなってきた。だんだん、泣きたくなってきた。
「大丈夫だ。」
フリックさんのその一言は、短いものだったけど
今の私にとっては、すごく安心できるような言葉だった。
フリックさんは、どうして私達の旅に一緒に来ようと思ったのだろう。
その事を少し、問い掛けてみた。
すると、
「フールアの気持ちが、わかるんだ。」
「・・・・?それって、どうして?」
また、質問すると。フリックさんは、次のように語ってくれた。
「俺も、昔事故で恋人を亡くして・・・その時は凄く悔しかった。そばにいたのに
自分は何もできなかった・・・。もしかしたら俺のせいかもしれないと、自分を責めた事もあった。
その時は自分も死のうかと思ったよ・・・。」
思いがけない言葉に、私は戸惑いを隠せないでいた。
「そっか・・・・フリックさんも・・・・。」
だから、一緒に来ようと思ったんだ・・・。
自分も、フールアと同じような経験をしていたから。
フールアの悔しい気持ちとか、すごくわかったんだな。
だから、フールアのことも助けたいと思ったのかな・・・・。
「一緒に・・・助けよう!この国を・・・・フールアを!!」
「ああ、そうだな。フールアのことも俺は救ってやりたい。俺と同じ悲しみをもったやつを
これ以上増やしたくないしな。」
フリックさんは、いつもとは違う力強い微笑みを浮かべた。
それと同時に、後ろから聞き覚えのある声がきこえた。
「お〜〜い!リナ!」
振り向くと、私より2〜3歳年上の少年達が歩いてきた。
アナフッド達だ!
「アナフッド!!」
「まったく、お前なにやってんだよ!船のチケットも、金ももってないんだからな!
もしみつからなかったらそのへんでのたれ死にだぞ!今回はフリックがいたからいいものを・・・」
アナフッドの説教をききながら(笑)私達は船に乗り込んだ。
船が出発し、動き出した。
船内は心地悪く左右に揺れる。
「大丈夫ですか〜〜???」
その言葉に、口を抑えて青ざめた
フリックさんが答える。
「うぅっ、話し掛けるなっ・・・・。」
どうやら、船酔いしたらしい。
さっきまでカッコつけていた(?)フリックさんはどこへいったのだろう。
「冷たい飲み物でももらってきましょうか?」
ルナさんのやさしい言葉にも、反応しない。
そうとう船に弱いらしい。向こうの大陸まで4時間半はある。
それまでにもつかどうか・・・・・。
私達は一番格安の席だから
凄く揺れる・・・。あまり船酔いしない人たちでも少し酔ってしまうほどである。
だから元から船酔いの激しい人だと、すごく気分が悪くなるそうだ。
せっかくの楽しい船旅なのに。
それに、私はずっと城の中で暮らしていてほとんど
外なんかに出たことがなかった。だからもちろん船なんかに乗るのは初めて。
だから、余計にわくわくしたのだ。
「リナさん、少し眠っておきましょう。アフアト山まで歩くのでしょう?持ちませんよ・・・?」
初めての船に興奮して眠らずにいた私に、ルナさんが声をかけてくれた。
確かに、体はすごく旅のせいか疲れていた。
「そうだね、少しは寝ておかないとね!ぶったおれちゃうと困るし♪」
私は、眠る事にした。やはり体はすごく疲れていたらしく
すぐに眠りに付いた・・・・・
「リナ・・・リナ・・・起きろよ・・・着いたぞ・・・・。」
アナフッドの声で私は目がさめた。もう、着いたらしい。
「はぁ〜〜、よく寝た・・・。」
眠たげな目をこすって、私たちは船からおりた。
ここからアフアト山まではそう遠くない。だけど今はもう
夜中だった。とりあえず、宿を探す事にした。
運良く、近くの宿を取ることができた。
私達が、奇跡の花を探しに行くと言うと、宿の人は安くしてくれた。
私達は、宿で一夜をすごしして次の日アフアト山に向かうことにした。
〜翌日〜
その日は気持ちのいい晴天だった。
暖かく、山登りにはちょうどいい天気だった。
しかし、アフアト山は氷山に近いほど雪と氷でおおわれているらしい。
土などほとんど見えないので、もちろん植物などもめったにない。
そこから奇跡の花をみつけるのはとても困難なことだった。
とりあえず、私達はアフアト山に向かって歩き出した。
しばらく歩いていくと、目の前に大きな白い山がみえた。
「あれが・・・アフアト山?」
そう聞くと、アナフッドは
「そうだ。今から登るぞ。」
そう言った。アフアト山は高く、全身を雪と氷でおおわれていた。
噂には聞いたことがあるが、それ以上にすごかった。
そして、キレイだった。
今日は天気が良く、雪がとけかけているので足元に十分注意しながら
私達は登る事にした。
本当にこんなところに花が咲いているのだろうか。
きっと咲いている。
そう信じながら私達は登っていった・・・・・
つづく・・・
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