『アナフッドの恋人・・・?』
「はぁーーっ!疲れたぁ!」
アーリトルンに着いて、もう3時間になる。でもまだ金の城なんて
見あたらない。誰もがそうため息をつきたくなちゃう。
「あぁーっ!もうっ!こんなんじゃらちあかねぇ!街の人に聞こう!!」
最初にそう言ったのはアナフッドだった。まったく気が短い。
でもそんなアナフッドの意見に反対したのがフリックさん。
「だ・め・だ!俺のプライドがゆるさない!人に聞くなんて!なんとしてでも自分たちの力で
見つけだすんだ!わかったな!」
といって聞かない。まったくフリックさんもフリックさんだよ、ホントわがままなんだから。
はぁ・・・ホントにいつになったら金の城にたどり着けるのやら・・・。
金の城にルナさん達がいるっていうのに・・・
「あんのチビ共がぁっ!嘘ついてんじゃねーのか!?」
しぇ〜!!アナフッドがついにキレたぁっ!
なんかいつもとちがうよーっ!
「ねぇおにーたーん、遊ぼーっ」
そう言って可愛い3歳くらいの女の子がアナフッドのズボンをつかんだ。
「る・・・せ・・ん・・だよ・・・
うるせぇんだよだまれくそガキ!!」
「ギャーママーっっ!!」
はぁ・・・かわいそうに・・・
「アナフッド、八つ当たりは良くないよ。」
「もーっあったまきたぞ俺はっ!でてこいチビ共っ!」
と、アナフッドが行ったとき
「アナフッド・・・?あなたアナフッド・ルシスア・・・?」
アナフッドと〃くらいの年齢の女の子が驚いたような顔をして
アナフッドをじっと見つめていた。
「リ・・・リーア?・・・リーアか!?」
「アナフッド・・・誰?知ってる子?」
アナフッドは目をきらきら輝かせてこういった。
「知ってるもなにもリーアは俺の幼なじみで、アーリトルンにいたころの
たった一人の親友だったんだ!」
アナフッドの・・・親友・・・?幼なじみ・・・?
「やっぱり!アナフッドだったのね!五年前とぜんぜん変わってないわ!ずっとずっと
会えるのをまってたのよ!」
リーアという女の子はそう言うと勢い良くアナフッドに抱きついた。
「アナフッドが急にいなくなって、私毎日が、胸が張り裂けそうですごく・・・
淋しかったんだよ!アナフッドのこと・・・こんなに好きなのに・・・。」
「!? 」
「はいっ!?」
フリックさんも、タイキさんもぼっちゃんさんも私も、驚いていた。
「アナフッドって・・・・恋人いたんだ・・・。」
おどろいてそう口にした時
それにアナフッドがあわてて答えた。
「なっ!違う!こいつは親友なだけで・・・!」
「そぅ!私達恋人どうしなの!あなたアナフッドに 近づかないでよね!」
リーアは何を勘違いしたのかわからないけど、どうやら私が
アナフッドのことを好きだと思っているらしい。
「とにかくリーア、俺達を今日一日泊まらせてくれないか?」
「アナフッドの頼みだったら、何日でもいいわよぉ〜♪」
そう言うと、私達を家へと連れていってくれた。
「あぁ〜♪いい気持ち♪」
久しぶりにあびたシャワーはとても気持ちが良かった。
ホント、今までの旅の疲れが全部とれちゃいそう♪
なんとリーアさんの家はもうシャワールームやらベットやらっって
文句なしの綺麗な家なんだ。しかも客室まであるんだよーーっっ!
最高♪♪
・・・・でも、リーアさんさえ誤解をといてくれればなぁ・・・あれからずっと話してくれない。
「リナ、俺リーアに金の城の場所を聞いてくる。五年前はそんなのなかったから俺にも
わかんねーからな。すぐここに戻ってくる。」
そうアナフッドはいって部屋から出ていった。
「心配ですか、リナさん。」
ドッキ〜!
その言葉に反応して、心臓が跳ね上がった。
び・・・びっくりしたぁぁっっ・・・。
「なんだ、タイキさんか、脅かさないでよぉぉ!すっごくビックリしたんだからぁぁ!」
半べそかいた私に、困った様子でタイキさんが答えた。
「す・・・すみません、脅かしたかったわけじゃないんですけど、ちょっと気になりません?
あの2人・・・。」
あ・・・・・確かに・・・・。
アナフッド金の城の場所聞いてくるとか言って実はリーアさんに
会いに行きたいだけなんじゃないのかな・・・。
うぅ〜ん・・・あやしいなぁ・・・。
「あっ!窓の外見て下さいよ!2人がいますよ!」
「よしっ!いってみようぜっ!」
好奇心旺盛なぼっちゃんさんとフリックさんとタイキさんと私の4人で
外にでて、アナフッドたちの様子を見ることにした。
今時、草の影に隠れるやつなんかいないと思うんだけど、
実はここにいるんだよね・・・4人・・・。まぁそれは私達のことだけどね・・・。
そして、アナフッド達の会話が聞こえるところまで近づいた。
「リーア・・・金の城のある場所をしってるか?」
「・・・なぁんだ、話ってそれだけ?今ちょうどアーリトルンの新しい地図もってるから
あげるわよ。そういえば、金の城が建てられたのは二年前でアナフッドはもういなかったね。」
リーアさんがアナフッドに地図を手渡した。
「うぅ〜んスキンシップですねぇ。」
タイキさんがまじまじとみていた。そんなに興味あるのかなぁ・・・。
「地図ありがとう。リーア。じゃぁおやすみ。」
「うん・・・おやすみ。」
そういってアナフッドは中に入ろうとした。やっぱり何もなかった。
よかった・・・・・。
ってなんでホッとしてるんだろ、私ってば。別に、アナフッドとリーアさんが恋人だって・・・
私にはなんの関係もないんだからね・・・。
なんか、今日の私少しへん。
「まって よ!アナフッド!私、私ずっとアナフッドのこと好きだって言い続けてるのに
なんで、返事をきかせてくれないの・・・・?私だけバカみたいじゃん!」
「あのなぁ、俺は、お前のこと親友だって思ってるけど俺のリーアへの『好き』は
友達の好きなんだ。だからお前を一度も恋愛対象としてかんがえたことはない。」
あ・・・・・・・
リーアさんの瞳から、涙があふれ出してきた。
「あの子ね・・・・・あの子に誘惑されたのね!目を覚ましてよ!アナフッド!
五年前は好きだって言ってくれたじゃない!あれは嘘だったっていうの!?ひどいよ・・・。」
「あれは・・・お前を親友として、言ったんだ!その時はちゃんとそう・・・」
「もぅいい!聞きたくない!どうして神様はいじわるなの!?どうしてアナフッドと両思いに
させてくれないの!?リナなんて大ッ嫌い!」
そういうと、リーアさんは大声で泣き始めた。
アナフッドも困って座り込んでいた。
「リーア・・・ごめ・・・ん」
「・・・るさない・・・・神もリナもゆるさない!!」
ザワッ
リーアさんがそう言うと、風が強くふいて、木の葉がかすれる音がした。
『お前は神もリナもキライか・・・・。』
どこからか、低い男の人の声がきこえた。
「この・・・この声は・・・フールア!?」
え・・・・・?
『私についてくれば強くなれるぞ。強くなれば憎きリナを抹殺できるぞ。』
「だめだ!リーア!行くな!フールアなんかについていったら!」
『返事はどうだ・・・?』
「貴方についていけば、アナフッドが目をさましてくれるの・・・?」
『もちろん・・・・さぁ・・・来なさい。』
すっ・・・・・・
「私は貴方についていきます。フールア様。どうかアナフッドの目を覚まさせてください。」
リーアさんはそう言ってフールアの闇のもとへと消えていった。
「リーア・・・・。」
私はアナフッドの所へいった。
「リナ・・・お前いつから・・・?」
「ごめん・・・アナフッド、盗み聞きしようとしたわけじゃないんだけど・・・」
「また・・・また守れなかった。リーアも、俺がいたのに・・・。」
ぽたぽたとアナフッドの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
悲しみと憎しみと、そしてなによりも、悔しさがアナフッドの瞳からこぼれ落ちていったんだ。
そして、自分の過去に区切りをつけられず、今までひきずってきたことの後悔。
そして、アナフッドは話してくれた。
悲しく、重々しいアナフッドの過去のことを・・・・・。
つづく・・・
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