アナフッドは静かに、フールアと自分の過去を話してくれた。
「フールアは恋人を亡くしていたのね・・・・・・。」
「フールアってもしかしたらそんなに・・・・・・・・・・・」
そういいかけたとき、アナフッドは
「いや、いくら恋人を亡くしたからといってこれは 許されることではない。
だから
何とかしてフールアより先に 奇跡の花を手に入れて何もかもを元通りにしなければ・・・・。」
でも、フールアって本当にかわいそうだったんだ・・・・。
止めなければいけないコトだけど、やっぱりフールアの気持ち、 わかってしまうから辛い・・・。
「そうだよ、いちいちそんな事で世界を滅ぼされちゃかなわないよ。」
フリックさん・・・・なにもそんな言い方しなくてもいいのに・・・。
「とにかく前に進もう。いつまでもここで立ち止まっている わけにはいかないだろう?」
「そうですね、いきましょう。」
私たちはルナさん達を助けるために、金の城を目指さなければならない。
まだ、金の城の手がかりは一つも見つかっていない。
もう一度、私たちは町の人に聞いてみることにした。
「金の城?そんなの見たことねぇな。」
やっぱり、そんな簡単にみつかるわけはないか・・・・
「あ、でも塔みたいなものなら町はずれにひとつあるぜ。」
町の商人のおじさんにその塔のところまで案内してもらうことにした。
その塔は本当に町のはずれの目立たないところにあった。
そして、「金」ではなかった。ならなぜ「金の城」というのだろう。
私にはただの石でできた塔にしか見えなかった・・・
私たちはその塔にのぼることにした。
階段をずっとのぼっていくと、大きな鍵のかかった扉があった。
「もしかしたら、ここにルナさんたちが・・・?」
フリックさんはだまってうなずき、「壊そう。」
と言い、剣を引き抜いた。それと同時にアナフッドも剣を引き抜き、
二人がかりで鍵を壊した。鍵はボロボロになりやがて扉が開く。
そこには一人、女の人が立っていた。その人を見ただけで、すぐに誰だかわかった。
「シェーラ!!」
そう、その人はルナさん達を連れ去った本人なのだ。
「ルナさん達はどこ!?」
私の怒鳴り声を聞いても、特別驚きもせずに笑いながら言った。
「あぁ、あの王女達か。奥の部屋で静かにおねんねしてるさ。ま、生きてるかどうかは
見てみなきゃわかんないけどね、フフ。」
酷い、なんてやつ!ルナさん達無事かしら・・・・。
シェーラの言葉を聞いてアナフッドは奥の部屋へ行こうとするが
扉の前にはシェーラがいて通れない。
「あら、残念だけどここは通すわけにはいかないの。お前らが奇跡の花をあきらめるっていうなら
話は別だけどね。」
「それはできないな、ならば力ずくでもそこを通らせてもらう。」
そういうとフリックさんは剣を引き抜きシェーラへ振り下ろした。
が、シェーラはそれを簡単にかわしてしまった。
「あ〜ら、戦うつもり?楽しくなりそうね。血を見るのは久しぶりだわ。クス。」
そしてシェーラは自分の腰から鋭い刃をもつ武器を取りだした。
それは氷柱のように鋭かった。あんなものをまともに受けたらきっと一撃で・・・即死だ。
そう思うとゾッとする。少しでもスキを見せたら・・・・
そんな緊張感でいっぱいだった。しかしそんなとき、
背後で物音がした。私たちはそっちに一瞬気をとられてしまった。
「しまった」と思ったがそのときはもう遅かった。
「アナフッド!!」
鋭い刃がアナフッドの胸に突き刺さっていた・・・
一瞬、混乱して自分がどこにいるのかさえわからなくなっていた。
アナフッドの胸からはたくさんの血が流れ出ている。
それは素人の私が見ても、致命傷だということはすぐにわかってしまうほど、深い傷だった。
そして、今戦えるのは私とフリックさんのたった二人だけだった。
「フリックさん、私がなるべく強力な呪文を唱えます。彼女にスキができたら・・・攻撃を
おねがいします・・・・。」
今私にできることは、シェーラの動きを止めることくらい・・・。
フリックさんは黙ってうなずいた。
『この銀河の多大なる星々達よ・・・今破滅よりこの地ベナウルを救いたまえ・・・。」
−スター・クロス−
「!!」
星でつくられた大きな十字架で相手を攻撃する呪文。
対して強力ではないけどないけど、動きを止めるには十分だろう・・・。そして
シェーラの動きが一瞬止まる。
そのスキをみてフリックさんが剣を振り下ろした。
シェーラはよける暇もなく、一撃でやられてしまった。
「フン、このオバさん!!威張ってる割には弱いじゃない!」
私は思いっきりこの女をののしってやった。
それから私たちはアナフッドの方へかけよった。
「アナフッド!!大丈夫!?」
「・・・・大丈夫・・・だと思う。。。急所ははずれたらしいが・・・薬をたのむ・・・。」
アナフッドの傷口に薬を塗った後、私たちは奥の部屋へいって
ルナさん達を助けた。
「リナさん、よくご無事で・・・。」
ルナさんこそ、無事で良かった。これでまた6人で旅が出来る。
私たちは塔からおり、自分たちが今までいた塔をみてびっくりしてしまった。
その塔は夕日をあびて、金色に輝いていた。
「だから、金の城だったのね。キレイ。」
私たちはしばらく、その金の城をながめながら
次の町へ向かった。
つづく・・・・・
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