ベナウル伝説  第7話

『真実』

「どういうことだ!?レックナート!説明しろ!」
ここは、アーリトルンより一つ前の街、クリムゾンタウン。
私達がココに着いたのは、夕方になってからだった。もう一日中歩いてくたくた。
そんなことも気にしないように、アナフッドはレックナートに向かって怒鳴っている。
やはりミリーナとルークのことについて、ショックを隠しきれない様子だ。
「ルーク達を俺達の仲間にしたのはあんただろ!レックナート!どういうつもりだ!
最初からあいつらがフールアの手下だってこと知ってのか!?」
アナフッドはすごく怒っているみたい。でも、無理はないとおもう。
だって今まで仲間として旅をしてきた人たちが敵だったなんて・・・。
だまっていたレックナートがやっと口をひらいた。
「わかりました。説明いたしましょう。・・・たしかに、ルーク達がフールアの手下ということは
わかっていました。でも、ルーク達が仲間になる、というのは変えられない『運命』だってのです。」
そして、7人の神のことまで話してくれた。
そしてもう一つわかったこと。それは、
フリックさんも神だということ。
「でもどうするの?3人で行くのは結構つらいものがあるわよ。」
だって3人で行ってもしも、フールアの手下におそわれたら、確実にやられてしまう。
「その事についてなら、心配はいりません。もう私が仲間を呼んでおきました。」
アナフッドが疑った様子で、
「信じていいのか・・・?」
「今度は大丈夫です。フリック、あなたも知っているとおもいますよ。」
フリックさんは思いついたように叫んだ。
「ぼっちゃん!タイキ!」
ぼっちゃん、タイキ。そう呼ばれた少年が今回の旅で仲間として旅をしてくれるらしい。
まぁ、この人達は神ではないんだけどね。仲間が増えると、心強い。

そして夜がふけていった。
次の朝、朝食を食べた私達はクリムゾンタウンを後にした。
アーリトルンに向かう途中、
「お前らをアーリトルンには行かせない」
え・・・・?
背後からそんな声が聞こえたと思った瞬間!
私の後ろから一人の男が襲いかかってきた。何が起こったのかがわからなかった。
ただ、恐くてひたすら助けをもとめていた。自分がこんなに弱かったなんて知らなかった。

「アナフッド!!」
そう叫んだ時、アナフッドは剣を抜き、男の剣をはじいた。
「なにやってんだい、ジェイド 。あんたドジだねぇ。」
そう言ってでてきたのは女の人だった。
漆黒の髪、瞳、そして服までもが、 闇を語っているようだった。
緋色の鮮血を思わせるような唇。その口元は
ゾッとするくらいに、冷たく微笑んでいた。
でも、そんな女の人 が何かを言おうとしたとき、私は力つきて
気絶していまったんだ。アナフッド達がどんな戦いを繰り広げていたのかも
なにも覚えていなかった。気が付いたときは暖かい背中の感触がした。 「アナフッド・・・?」
気絶した私を抱きかかえて、アーリトルンまで運んでくれたんだ。
「あ・・・・リナ、大丈夫か?おろそうか?」
「う・・・うん。ありがとう。アナフッド。」
やっと、アーリトルンに到着したんだ。
これから、金の城をさがさなければならない。
きっとそこに、ルナさん達がいると信じて・・・・

つづく・・・

 

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モドル