『楽しい・・・?つらい・・・?』
「ねぇアナフッドォ〜まだぁ?」
「お前どのくらいか知ってんのかぁ?3000Hは先だぞアフアト山は・・・・。」
ため息混じりに彼は言う。そんなのわかってるけど、口に出ちゃうのよね・・・・・。
もう何時間も歩いてくたくた・・・。
「ねぇ少し休もうよ。」
「あぁ・・・・・。」岩の上で休むここら辺はキレイだ。ベナウルからはでたからね。
昔だったらベナウルだってこの辺に負けないくらい緑も水も空気も、すべてがキレイだったのに・・・。
「そこまでよ!」
木の上から女の人の声がした。
「だれだ!?」
アナフッドがソードを抜く。
「あんた達にベナウルを元に戻すことなんかできっこないわよ。何せベナウルに呪いをかけたのは
フールア様なんだから・・・。」
そう言って女の人が降りてきた。
「・・・なんだと・・・!今フールアと言ったか・・・・!?」
アナフッドがいきなり怒りだした。
「そ・・・そうだけど・・・・なによ・・・・。」
ガッ・・・・・!!
一瞬何が起こったかわからなくなった。アナフッドが女の人の首すれすれのところにソードを刺した。
首に刺さると思った。
「お前、俺のこの肩の傷のことフールアに聞かされてねーのか!?」
「聞かされてないけど・・・。」
「フールアは・・・・俺の弟だ!」
なに・・・・・なんなの・・・・!?
「なっ・・・・・・!?嘘をつくなっ!!貴様とフールア様が・・・・そんな馬鹿な・・・!?」
女の人も動揺している。・・・・一体・・・どうしたって言うの!?
「まぁいい・・・私の使命はお前達を殺すことだ。さて・・・・どうしようか!」
そう言うと彼女は腰のソードを抜くなりアナフッドに突きつけた。
(アナフッド!)
そう思った次の瞬間!
ガキィン
ザシュ・・・・・。
何かが地面に突き刺さった音・・・・
そっと目を開けると見たことのない男の人と女の人がいた。
『あはははは・・・!命拾いしたね!でも今度はそうはいかないよ!』
そういってさっきの女の人は去っていった。
「ちっ逃げやがった!おい、大丈夫か!」
「えっ・・・・あ・・・大丈夫です。ありがとうございました。 」
私は半信半疑で答えた。
「こっちの彼は傷がついてるけど・・・。まぁヒーリングをかければすぐに治るわ。」
「そうですか・・・・よかった・・・。」
少し落ち着いてから私たち4人は自己紹介を始めた。もう辺りは暗い。もうすっかり夜だ。
「さてと・・俺の名はルーク、ルーク・フェルザレードこっちはミリーナ・フィルスだ。トレジャーハントをしている。俺は攻撃魔法を、ミリーナは回復、攻撃、なんでも使える。」
「えっと・・・・私はリナ・クロイスです。」
「へぇ・・・クロイス王国の姫さんか!」
「・・・!?なんで・・・?」
「何でわかるかって?俺達は全国の国の名を知ってる。だから名前だけ聞けばわかるのさ。」
・・・・はぃ・・・?
「あっそうそう『さん』とか付けるのやめてくれよ!苦手だから。」
ルークはちらっとアナフッドの方を見た。アナフッドもその視線に気づいた。
「俺の名前?俺の名前が知りたいワケ?・・・・アナフッド・ルシスアだ・・・。」
「ふーん、言っておくが 今日から俺達も仲間に入れてもらうぜお二人さん。ある人に頼まれたんでな。」
「ある・・・人・・?」
きょとんとしてアナフッドと顔を見合わせた瞬間・・・!
まばゆいほどの光が!まぶしい!
「なに!」
ザワッ ・・・・風が騒ぎ、光の中から女性がでてきた。
透き通るほどの白い肌に、ビー玉みたいな紺碧の瞳。太陽の恵みを受けたような金色に輝く髪。
とてもこの世の者とは思えないくらい綺麗な人・・・・。一体だれ?
「レックナート様!」
レックナート・・・様・・・?
「レックナートだと!?」
アナフッドは驚きのあまり立ち上がった。
「二人にお願いがあります。一刻も早く、奇跡の花をとってきてほしいんです!」
レックナートという女の人は急いだ口調でしゃべっている。どうしたんだろう・・・・。
「あの花は・・・・使う者によって善にも悪にもなる・・・まさに両刃の剣 なのです。そんなものを
フールアが手にしてしまったら・・・・この世は闇のものとなってしまいます 。」
「そうか・・・・あの女が襲ってきたのは俺達を足止めするたまだったんだな・・・。」
アナフッドが口を開いた。
「アナフッド・・・私・・・その、フールアって言う人のことなにも知らないんだけど・・・。」
いきなりいろんな事を聞かされて迷わないはずがない。
「今は・・・・まだなにも言えない・・・この傷のことも・・・でも、いつか絶対話すから。」
・・・・・・・?一瞬アナフッドの目が悲しそうに見えたけど・・・。
気のせいよね?
「じゃぁ今からとりに行こーぜ。やつらにとられる前にな。」
「アナフッド・・・あなたのソードをかして。」
レックナート、アナフッドのソードなんてどうするつもりだろう・・・。
アナフッドは黙ってレックナートにソードをわたした。
レックナートは奇妙な呪文を唱え、アナフッドのソードに魔法をかけた。
レックナートは魔法をかけたあと、アナフッドにソードをかえした。
なんの魔法をかけたんだろう。
「いきましょう。アフアト山へ!!」
全員が暗い夜道を歩き出した。レックナートは後ろについて見守りながらゆっくりと進んでいった。
レックナートはみんなに聞こえないくらいの小声で言った言葉を私だけが聞いていた。
「ごめんなさい・・・でも奇跡の花をとりに行く時からあなた達全員の運命は決まっていた・・・。
そして今も、ただの始まりにすぎない・・・。たくさんの仲間を集めてこの世界を救って・・・。」
・・・・と。意味はよくわからなかったけど・・・なんだかとても・・・・・・。
そして私たちは歩き始めた。この世界をかえるため、この世界を取り戻すため、今、無限の旅は
始まったのだ。
フールアという人がアナフッドの弟・・・。
そして私たちよりはやく、フールア達が奇跡の花を見つけたら・・・?
ベナウルの街に呪いをかけて、どうしようって言うのかしら・・・・。
フールアが呪いをかけたのと同時に、なぜお父様達がいなくなってしっまったの?
考えれば考えるほど、頭の中の整理がつかない。
こんなふうに悩んで、迷っているとき、いつもお母様とお父様が相談にのってくれたっけ・・・。
もし・・・もしも私たちがフールアより先に花を見つけ、ベナウルをもとにもどしてフールアを倒した時お母様とお父様はラガニールにもどってきてくれるかしら。
「お前、考え事しながら歩くと木にぶつかるぞ。」
え・・・・?
ゴン ッ
「いったぁ〜い!!」
アナフッドの言ったとおり、木にぶつかった。
「おいっ次の街にもうつくぞ。」
コルムンだ。ここはベナウルとはまるでちがう。
町中はとてもにぎわっていた。
草花だってほら・・・・。
キレイな土と水だから、花が咲いたりするんだよ。
なんだか前がよくみえない。みんなの後ろ姿がユラユラとにじんで・・・まるで泣いてるみたい。
・・・・・ポタ・・・。
私の瞳から熱いものがあふれだしてきた。やだ・・・私泣いてるの・・・?
ベナウルのこと思い出したら悲しくなってきちゃった 。
どんなに強がってても・・・涙まではごまかせないね。
「あなたっなに泣いてるの??」
「ギャッ!」
いきなり10歳〜12歳くらいの女の子が顔をのぞきこんできた。
「こんにちは!!私ルーア!あなた達がこの『古伝』にのっていつ「神」に違いないわっ!街を案内するから助けて!」
は・・・・?神・・・・?助けて・・・?って・・・・?
さっきまで無口だったミリーナが口を開いた。
「助けてってどういうこと?それに私たちは神でもなんでもないわ。」
「あっ忘れてました。私巫女なんです。で、予言のたくさん書かれているこの『古伝』をおととし開いてみたところ、大変なことがわかったんです。」
ルーアさんはそう言って古伝をひらいて見せた。
せい
西 101年、全世界を喰らうであろう闇の魔王が復活せん
木々は枯れ、水は尽き、動物たちは死に絶えるであろう
この世界のガーディアンである光の神あらわれん
7つの神は花とともにこの地を救うであろう
闇は光より出、光は闇より出るであろう
−ベナウル伝説−
「助けてください!もうすでにベナウルでは、事は起きています!この町もやがてベナウルのようになるでしょう。そうなる前に、助けてください。お願いします!」
「おい、もし俺達がその神だとしても7人もいねーぞ!!」
アナフッドは少し怒りながら言った。
「後の3人はきっとこの先で仲間になるのよ!」
・・・・・そんなコトいきなりいわれてもなぁ・・・・・。
「そっそんなこといきなり言われたらこっちも困るわよ!!」
そんなふうにものすごい勢いで怒鳴ったのはミリーナだった。
ミリーナって以外と恐い。
見た目は優しいお姉さんってカンジなのに、キレると恐いんだなぁ・・・・。
「助けてあげようぜ!な?みんなっこの町までベナウルのようにはしたくないだろ?それはたぶんリナが一番わかってると思う。」
・・・・・ルーク。
「そうだね、ミリーナの気持ちもすっごくわかる。でもこの町を私のいたベナウルのようにはしたくないの。・・・だから助けたい。ううん・・・助けよう!」
私には今までにない気持ちが胸の奥から湧き出てきた。こんな気持ちになったのは初めてだ。
なんだかわくわくしてきちゃう。こんなことで楽しんじゃいけないってコト解ってる。
でもこれで世界が、ベナウルがもとどうりになるのなら・・・・。
「リナにそこまで言われちゃしょうがないわね。それでどうすればいいの?」
・・・ミリーナ。
「とにかくあとの3人をみつけてください!」
3人か・・・どこにいるんだろう。
「今日はもう遅いんで休んでいって下さい。」
私たちはとりあえず町のボロイ宿泊所に行った。
仲間はこの町にいるかもしれない。
男か女かわからないけど、仲間が増えるのは嬉しい。でも、なんだか胸騒ぎがしてきた。
さっきからずっとアナフッドは黙っているし・・・・。
フールアと傷はなにか関係あるのかな?
食事のときもしかめっツラしてる。ったく食事の時くらいそのしかめっツラやめなさいよ!
っと言いたいところだけど、恐くて言えないの・・・。(苦笑)
「ねぇアナフッドぉさっきっから何だまってるのぉ?」
ちょっとニブいミリーナがしかめっツラ のアナフッドに問いかけた。
「・・・・・・。」
やっぱりアナフッドは何も言わない。
「何か・・・・あったの?」
「俺達の近くに・・・・・・フールアがいるかもしれない。」
え・・・・?どういうこと?フールアが・・・・・・私たちの近くに!?
「それどういうこと!?アナフッド・・・なにか知っているの?」
「・・・いや・・・ただそんな気がしただけだ。気にしなくていい・・・。」
「フールアがこんな近くにいるわけないよな。スマン。」
またアナフッドは黙り込んでしまった。
もしかしたらアナフッドの行っていることはあたっているのかもしれない。
これからおこるある事件までそれには気付かなかった。
つづく・・・・・・。
第3話へ
第3話にはイラストを入れる予定です!お楽しみに・・・・・。